考えすぎて疲れるのは、あなたのせいじゃない
ベッドに入っても「あの言い方でよかったかな?」「あの時のLINE、返信これでよかった?」
そんなふうに、考え事が止まらない夜ってありませんか?
私自身、そういう状況よくあります😅
友人とたくさんおしゃべりした日など、その食事会、その会話をリフレインして頭の中であれこれしゃべり直してる…。そして、「あの話、もっと聞いたげればよかったかも」「あの伝え方、なんか中途半端だったかな」とか。
私がお客さまに提供しているサービスの一つ、アーユルヴェーダセッションをやった時なんか、大変です!
そのレクチャー内容・講座シーンを思い返しては「あーー!あれはもっとこうやって伝えた方が解りやすかったかも!」「あの説明を付け加えておけばよかった…」とか、ひとり大反省会が始まります😂
私たちの頭の中って、実は眠る前に限らず、誰でも一日中、けっこうおしゃべりしています。しかも、なかなかしつこい。
でもこれ、あなたが悪いわけじゃありません。「心にそういう性質があるから」なんです。
ヨガが教えてくれる、心の“クセ”
古代インドの聖典『ヨーガスートラ』では心を「チッタ」と呼び、まるで水面のように、常に揺れ動くものだと表現します。心には動くクセがあるということ。
心が揺れ動くものという感覚はなんとなくあるものの、私たちの多くはふだんあまり心の仕組みを認識していません。
古典にのっとって難しい言葉を使うより、今回は私たちの日常的な心の動き、幸せの本質について考察しましょう。心の働きが私たちの思考や感情、行動を形成し、苦しみの原因となることがあります。
「心とは何か」「なぜ私たちは苦しむのか」「幸せって何?」といったテーマを、身近な視点から掘り下げてみましょう。
心にある”3つの性質”を知ろう
① 欲望:「もっと欲しい、もっとこうなりたい」
欲
もっと欲しい! 認められたい! みたいな、心の「ワクワク」と「ムズムズ」。新しいスマホやバズってるカフェに行きたいって気持ちは、まさに欲望の声。
この力があるからこそ、私たちは前に進めます。でも強くなりすぎると、永遠に「今のままじゃ足りない」と感じてしまうことに…。
こちらの記事でも欲望を脳科学や哲学でひも解いています⬇️
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② 思考:「あれこれ考えるクセ」
思い
頭の中でグルグル動く「考え事」のモード。朝の予定を立てたり、昨日の失敗を反芻したり、SNSで「いいね」の数を気にするのがこれ。友人や恋人と会う前にあれこれ考えたり、そのシーンを想像することも思考の働き。
これが今回の主役。問題を解決するのも得意だけど、時に「考えすぎて自分を苦しめる」ことも。
③ 智慧:「本当の自分を見つめる力」
直感
心の奥にある、物事の本質を見抜くクリアな視点。忙しい中でも「本当に大切なものは何か」に気づいたり、直感で「これでいい!」って感じる瞬間。ふとしたときに「まあ、なんとかなるか」と思える感覚。
意図的でなく、自然と内側から湧きおこる感動や、困ってる人を見て自然と助けてあげようと思う感覚などもこれ。実はこれが“智慧”という働き。
この3つがバランスよく動いていれば基本的には問題なし。でも、現代の私たちは特に「思考」が暴走しがちで、それが苦しみや「もっと幸せになりたい!」のループを引き起こす原因になってるんです。
じゃあ、思考ってどんな役割を果たして、なぜ私たちを振り回すの?
思考のクセが、私たちを追い込む
思考って便利です。予定を立てたり、人とのやりとりをうまく進めたり。でも、便利な反面、ずっと思考が働いていると「自分=思考」になってしまうんです。
たとえば…
- 「失敗した。自分はダメな人間かも」
- 「みんなにどう見られてるか不安」
- 「もっと頑張らないと価値がない気がする」
こうした考えがぐるぐる回っている時、実は思考が“暴走モード”に入っています。
前述したように、私が講座やレクチャー後にひとり反省会をしている時って、まさにこの思考が暴走している状態なんです。
「伝え方失敗した!」「解りずらいって思われたかな?」「もっとうまくできたらよかったのに」などという思いがどんどん湧き上がってくる。
幸せを求める気持ちも、思考が作っている
- 「もっと幸せになりたい」
- 「今のままじゃ物足りない」
これって一見ポジティブに見えるけれど、実は思考が未来ばかり見て、今を不十分だと決めつけている状態。
例えば日常的に襲ってくるこんな感情や感覚👇
現状に満足できない、もっと、という気持ち
知り合いや友達のSNSを見て、「あの人、めっちゃ充実してる。私なんて…」と落ち込む。
「もっと稼ぎたい」「もっと可愛くなりたい」と、欲しいものが次々湧いてくる。
これ、全部「思考」が主導権を握ってる瞬間。
『もっともっと』という欲自体は、私たちが生きる原動力にもなっているので、悪いものではありません。そのようにインプットされているから、進化してきたとも言えます。
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ヨガ哲学では思考が暴走する原因を「無知」からくると説明しています。つまり、
「幸せは外にある」「完璧になれば満足できる」
という思い込みが、思考をエンドレスな比較や欲のサイクルに突入させるというしくみ。
そして私たちの「思考」は、過去(後悔)や未来(不安)にジャンプするのが大得意。でも、幸せって実は「今この瞬間」にしかない。思考が「もっともっと」と騒ぐから、目の前の小さな幸せを見逃しがち。
思考を静めて、幸せに近づくには
「無知」が私たちの思考を暴走させ苦しめる原因だとしたら、「知る」ことができれば苦しみ和らげたり、回避するクセを覚えることができます。
例えばこんなことを改めて感じてみる・認識してみることでそれが可能👇
- 好きな人と話して笑った
- 今日の空がちょっときれいだった
- 炊き立てのご飯の香りが体に沁みた
- コーヒーが思ったよりおいしかった
「ああ!楽しい!」「ああ、キレイだな…」「ああ、いい香り!」「ああ、美味しいな」と純粋に心から感じる瞬間。
それって、思考が一瞬ストップして、「今」にどっぷり浸かってる状態。この「今」を増やすのが、幸せへの近道とも言えます。
余談ですが、アーユルヴェーダのCookingイベントを時おり気まぐれに?開催したりもします。胃腸のデトックスにもなるダルカレー(お豆のカレー)やスパイス粥を作ります。
スパイスとオイルをなじませるテンパリングの際、ほんの少し油で火が通ってきたスパイスたちが放つ香りが!
もうーーーー!最高に美味しそうな香りで。もう、これだけで「ハア、美味しい~~」ってなります(まだ食べてないし、何も出来上がってない😂)。 でもそのくらい、いい香りが立ち込めてくるんです。
その際、鼻を最大限に利かせ、目の前から漂ってくるスパイスの芳香の、まるですべてを吸い入れようとする瞬間。まさに『いい匂い、幸せ~~🥰』と感じます。
スパイスが油を含み少し泡立ったり、パチパチと小さな音をたてたり。目で見て音を聞いて香りを感じ、五感がしっかりと働き、文字通り、どっぷりこの一瞬に浸れるんですね。
単なる正論と感じてしまう場合もあるかもしれないけど、こういう“ほんの小さなこと”を味わえる心こそ、幸せの種なんです。
「考えるのをやめる」じゃなく、「考えに振り回されない」
私たちは思考を止めることはできません。じゃあ、思考の暴走をどうやって落ち着けるの?方法はあるの?って思いますよね。その方法はシンプルです。
「あ、今またぐるぐるしてるな」と気づけると、少しだけ立ち止まれます。
ポイントは、思考を「敵」にしないこと。思考は心の自然な動きだから、「考えるな!」じゃなくて、「考えてる自分をちょっと眺めてみる」のがコツ。
実はヨガや瞑想は、その練習を通じて「思考の波」を観察し、静める方法を教えてくれる最高のツール。「自分の心と上手につき合う方法を教えてくれるもの」なんです。
と、またヨガ推ししてしまう悪いクセ…。手軽でコスパが良いからついお勧めしたくなっちゃうのです、悪しからず😂
呼吸に集中したり、思考の波を鎮める具体的方法は、また別記事にて。
最後に:あなたの心にも“静けさ”はある
思考は、悪者じゃない。
でも、思考に「全部をまかせきり」にしてしまうと、苦しみや焦りにつながることが多いのが、私たちの日常。
今この瞬間じゃなく、過去の後悔、まだ起きてもいない未来への不安、起こらないかもしれない最悪の事態など。今、考えなくても良いことや、今、考えても解決しないことが、延々と頭の中を占めていたら。それにそっと気づいてあげる。
これだけです。毎日の生活で「ちょっと楽になる」視点を見つけてみましょう。
幸せは「思考の静けさ」の中にあるって知っておくと、楽になれそうな気がしませんか。
私は、ヨガの姉妹科学でもある、健康や幸せ哲学とも言える「アーユルヴェーダ」も学んできました。受講した数々のレクチャーの中でアーユルヴェーダドクターは、幸せと平穏な心について、たびたび言及します。
「Happiness means peaceful mind」
幸せとはすなわち、平穏な心である、と。幸福感は、心が静まったからこそ訪れる、と。
思考が「もっと欲しい」「こうじゃなきゃ」と騒ぐとき、私たちは苦しみます。でも、思考を観察し、呼吸や「今」に意識を向けることで、心の波が静まり、目の前の小さな幸せが見えてくる、という感じです。
そして、時にあなたにも、何の考えもなしに湧きおこってくる感覚、ありませんか。
「今はこれでいいかも」
「理由はさておき、これがいい!」
「大丈夫、きっとなるようになる」って。
そんな直感的に湧き上がってきた感覚は、大切にしてみてください。あれこれ考えずにあなたの内側から自然と生まれた感覚。それに従っていたら思考の出る幕を少なくすることができ、静けさの時間を長く保つことができます。
何かが、どこかのタイミングで、あなたの役に立てたらうれしいです。